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テレワークで従業員のメンタル不調が起こる原因と兆候・対策を徹底解説

2022年7月17日

先日、大手企業が原則テレワークを導入することを発表。出社する際は出張扱いになるなど新たな働き方制度が出され、メディアでも話題になりました。

昨今、テレワークを導入した企業から、従業員のメンタル不調に対する課題が出てきました。今回は、テレワークで従業員のメンタル不調が起こる原因と兆候をご紹介し、対策方法まで徹底的に解説します。

テレワークで従業員のメンタル不調が増加している背景

総務省が公開しているテレワーク実施率によると、日本のテレワーク導入率は、2020年3月時点では17.8%。その後2020年4月初めての緊急事態宣言を経て56.4%まで増加し、2021年11月には30%、2021年3月には38%と推移してきました。

参考:総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況 (soumu.go.jp)

新型コロナウイルスが流行する以前と比べると倍以上に増加しましたが、2022年は以前より伸び悩んでいます。テレワークを推進する企業と、そうでない企業が2分化している可能性があります。

今後、テレワークが普及し、働き方がどのように変わっていくのか?テレワークに伴うメンタル不調とどのように付き合って行けば良いのか気になるところですよね。

テレワークで従業員のメンタル不調は増加

テレワークは、感染拡大予防のメリット以外にも、働き方の改善をもたらしました。世界中で開催される会議にも自宅から参加でき、会社の近くに限らず好きな場所に住むことができるようになったという方も多いでしょう。

しかし、その中に隠れる従業員のメンタル不調はどのぐらいあるのでしょうか。

法人向けセルフメンタルケア事業を行うSENは、「Mental-Fitリサーチ」として、企業の人事担当者315人を対象に、テレワーク導入後の従業員のメンタルヘルスに対する調査を実施しました。調査の結果、約6割の人事担当者が従業員のメンタル不調を実感していることが報告されています。

さらに調査の対象となった人事担当者に対し、メンタルヘルスケア対策を実施しているか聞いたところ、対象者の66%が「すでにメンタルヘルスケア対策を実施している」と答え、「実施していないが、実施を検討している」が25%、「実施も検討もしていないが必要性を感じている」が8.5%。人事担当者のほぼ全員が、メンタルヘルスケアについて必要性を感じている回答をしています。

テレワークがもたらすメンタル不調は、「テレワーク鬱」と呼び名がつくほど周知され、対応に追われる企業も少なくないのが現状です。企業は、テレワークを行う従業員が抱えるメンタルヘルスの不調の原因を詳しく理解し、従業員のメンタルを支える対策を取り始めています。

テレワークで従業員のメンタル不調が増加する原因

従業員のメンタル不調に対し、テレワークが問題となる理由は何でしょうか。

その原因は5点挙げられます。

1.仕事環境の変化

・毎日通っているオフィスではなく、生活の中心である自宅での仕事

・独身や単身赴任ではない限り、家族も同居している

部屋にこもって仕事をしていても、同居している家族の声が気になって仕事に集中できない時もありますよね。特に重要な取引先とのオンライン会議で子供の声が聞こえていないか?上司にどう思われているのか?など心配が尽きません。

2.コミュニケーション不足からくる孤独感

今までは、オフィスに出勤することで、同僚や上司と毎日顔を合わせ、困ったときには周りにいる人に気軽に声をかけて相談することができました。仕事帰りには居酒屋に行って先輩に仕事の愚痴を聞いてもらったり..なんてこともあったでしょう。

自宅でのテレワークの場合、同僚や上司と離れているため、誰かに相談したくても「気軽に相談しづらい」と感じる人も多いですよね。又、電話だけでコミュニケーションを進めると、自分の伝えたいことが伝わったかわからない時もあります。

又、一人暮らしの方は、誰とも顔を合わせなかったり、対面で会話をしない日もあるのではないでしょうか。オフィスに出勤していれば、会社の人とのコミュニケーションはもちろんのこと、出勤途中に周りにたくさん人がいますし、コンビニで店員さんと会話することもありますよね。このような人との触れ合いがない状況が続くことは、更なる孤独感に繋がりやすいです。

このように、テレワークでは社内外でのコミュニケーションが不足しがちなことから、孤独感に繋がることもあります。

3.自宅が仕事場になることでリラックスできない

テレワークだと通勤もなく、時間に余裕を持って仕事ができるメリットがあります。一方で、仕事とプライベートの区別がつきづらいというデメリットもあります。

うまく切り替えができず、自宅にいてもリラックスできず、いつも仕事のことを考えてストレスを抱えている人も多いのです。

4.コロナ疲れ

2022年の現在は、以前ほどの不自由さは改善され、できる事も少しずつ増えていますよね。しかし、この3年間のコロナ禍で様々な事に規制がかかり、我慢を強要される生活が続いています。

以前は仕事のストレス発散で外出や旅行を楽しんでいた人も、自由に行ける機会が減ってしまいました。我慢が多い閉塞的な環境により、ストレスや疲れを感じる人が増えています。

5.出勤がなくなることによる運動不足

テレワークになると、通勤や営業訪問・出張・職場内での移動など日常生活で体を動かしていた機会が減少します。運動不足が続くと、睡眠の質の低下や自律神経の乱れを引き起こします。

適度な運動は心身ともにリフレッシュに繋がり、体を動かすことで疲労効果からぐっすり寝ることができます。体を動かしていないと、夜寝つけなくなったり、眠りが浅くなってしまい、睡眠の質が低下します。

また運動不足により自律神経が乱れると、ホルモンバランスが低下し、気持ちが不安定になります。

1つの原因からメンタル不調を引き起こすことがあれば、複数の原因が重なって起こることもあります。このような原因の解明により、テレワークを行う従業員が抱えるメンタル不調の状況を知ることができます。

テレワークにおける従業員のメンタル不調の兆候

テレワークにおける従業員のメンタル不調は、以前と比べて直接顔を合わせて同じ空間で仕事をする機会が減少しているため、気づきづらいです。従業員のメンタルの変化に早く気づくことができれば、早期対策を行えます。

ミスやロスが増えている

メンタル不調を抱えていると、睡眠不足や集中力の低下により、仕事でミスやロスをしやすくなります。いつもと比べてミスが目立つようになった、普段はミスしない所でミスをするようになったなどのサインがあれば注意が必要です。

チャレンジ意欲が薄れている

誰しも今の自分の現状に精一杯の時は、新しい事にチャレンジすることは難しいです。メンタル不調を抱えていると、状況に関わらず意欲が低下し、やる気がなくなる傾向にあります。

いつもより消極的になっていたり、会議での発言が少なくなっている人は、チャレンジ意欲が薄れている可能性があります。

また、笑顔が全くなかったり、虚ろな表情をしている場合には注意が必要です。テレワークであっても、ZoomやGoogle Meet等のオンライン会議で社員の顔を見る機会があれば、このようなサインが出ていないか確認してみましょう。

遅刻や欠勤が増える

メンタル不調を抱えていると、身体的にも不調が出て健康を損ねることがあります。身体的な不調として、不眠・頭痛・耳鳴り・腹痛・倦怠感・動悸などが挙げられます。

いつもは朝すっきり目覚めている人でも、倦怠感がひどくて起き上がれないことも。突然遅刻や欠勤が増えた人には、注意が必要です。

身体的な不調も、症状や困っていることを話してもらえないと指摘しづらいですよね。ただ、このようなサインから早期に気づければ、早く仕事を切り上げて休むよう提案したり、仕事量を調整するなどのサポートも可能です。

オンラインの会議で顔出しを嫌がる・連絡が遅い

オンラインの会議でも、顔出し参加を求められる会社もあります。従業員が顔出しを嫌がる場合、メンタル不調の兆候の可能性があります。

寝不足で疲れている顔を見られるのが嫌だ、意欲の低下により身なりが整えられていない等の理由があります。

また、連絡がいつもより遅いことも兆候の1つです。なかなか連絡する気になれない意欲の低下や、相手から何か言われるのではないかといった不安感、集中力の低下により仕事の効率が下がって遅くなっている等が挙げられます。

会話の中でネガティブな発言が増える

メンタル不調を患っていると、前向きな発想がしづらくなります。不安感や心配な気持ちが続くと、会話の中でネガティブな発言が増えることも。ネガティブな発言が増えた場合、悩み事を抱えていないか聞いてみても良いかもしれません。

直接的に不安・不満を訴える

従業員が打ち明けてくれると対策は取りやすいですが、症状としては深刻な場合もあります。自分でも「いつもと違う」という認識があり、自分だけでは対処できなくなったので直接相談にきた可能性が考えられます。

メンタル不調が改善されずに病状が進行すると、うつ病・適応障害・不安障害などの精神疾患に至る可能性があります。

社内に産業医や産業保健師がいる場合は従業員のメンタル不調を相談し、いない場合は従業員から話を聞いた上で、必要であれば心療内科などの医療機関へ受診を勧めてみることも大切です。

テレワークにおける従業員のメンタルヘルス対策

メンタル不調の原因や兆候が分かれば対策を立てやすくなります。メンタルヘルス対策として具体的な取り組みの事例をご紹介します。

コミュニケーションの機会を持つ

メンタル不調を訴える原因の一つにコミュニケーション不足からくる孤立感があります。

コミュニケーション不足の対策として、テレワークにおいても社員間でコミュニケーションを取りやすくする機会を提供しているケースがあります。

例えば、少人数のチームごとに定期的に週一回オンラインミーティングを行うことで、困っている事など皆にアドバイスを求める機会を作ることができます。少人数だと、普段オフィスでしていたような社員間での何気ない話をしやすい環境も作れます。また、1対1で話す機会を作ることで、普段皆の前では言いにくい悩みや考えをじっくり聞くことができます。

1対1の機会を作ることが難しい場合、週や時間を決め、その間はオンラインのパーソナルルームをオープンにするなど誰でも気軽に入って話ができる環境を用意しておく事も有効です。

頻繁な業務報告等、過度な監視・プレッシャーを与えない

テレワークでは他の社員の目がないこともあり、どうしてもオフィスで仕事を行う時より集中力が切れやすいです。企業としても、従業員が仕事に取り組む姿を見ることができないので、頻繁な業務報告を求めたり監視したりと従業員を管理してしまいがちです。

ある程度の業務報告や管理は必要ですが、過度になりすぎないよう注意しましょう。部下との信頼関係も大切にしなければなりません。

前述のように、メンタル不調の原因の1つには「仕事とプライベートの切り替えがうまくできない」こともあります。メールや電話での連絡は休憩時間や業務時間外を避けることで、オンオフの切り替えに繋がります。

周囲の人が気づいてあげる

令和3年3月、厚生労働省から改定・公表された「テレワークの適切な導入および実施の推進のためのガイドライン」では、テレワークでは従業員が上司等とのコミュニケーションが取りにくく、上司等が従業員のメンタル不調に気づきにくい現状が挙げられています。

そこで上司だけでなく、周囲の人の気づきが大切です。

周囲の人が気づくためには、「テレワークでメンタル不調が起こり得る」ことを全員が十分に理解し、兆候を共有する必要があります。周囲の人がサポートしやすいように、コミュニケーションを取りやすい環境を整えることも対策の一つです。

ストレスチェックやサーベイツールで早期発見を図る

早期発見を図る方法として、厚生労働省からチェックリストの活用が推奨されています。

厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」に掲載されている「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト(事業者用)」を活用することによって、健康相談体勢の整備や、コミュニケーションの活性化のための措置など、テレワークを導入する際に必要な事が理解できます。

また、「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト(労働者用)」も用意されています。事業者はテレワークを行う労働者に作業環境に関する状況の報告を求めるとともに、必要な場合には、労使が協力して改善を図る又はサテライトオフィス等の活用を検討することが重要であると記載されています。

参考:テレワークでのメンタルヘルス対策について|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト (mhlw.go.jp)

社内の対応だけでは上司に負担がかかり、早期発見が難しい場合もあります。その場合、外部サービスを利用する方法も対策の一つです。

上記で紹介した厚生労働省のチェックリスト、勤怠管理システムの活用、上司や管理職へのオンライン研修や、従業員に対してメンタルヘルスケアを行うセルフマネジメント研修等があります。

また、メンタルヘルスの二次予防(早期発⾒による重症化防⽌)として、心身の不調や悩みなどの健康相談を取り扱う外部相談窓口を利用することもできます。

オンライン相談ルーム ハワユについて

オンライン相談ルーム ハワユは、「眠れない」「やる気が出ない」といった従業員の方々のお悩みの解決をサポートすることで、生産性高く働き続ける環境づくりへ貢献する外部相談窓口です。

ご利用イメージ

・専門家へのチャット相談(回数制限なし)
・セルフケアに繋がる専門家の記事
・簡易セルフチェック

上記3つの機能を通して、導入頂いた企業様へ2つの点でサポート致します。

1.「セルフケア」「事業場外資源によるケア」の2⽅向で従業員のメンタルヘルスケア
セルフチェック機能や専⾨家の記事でセルフケアを⾏い、必要な時に専⾨家に気軽に相談できます。

2.法令遵守のクリア
2022年4⽉より全ての企業に義務化された「パワハラ防⽌法」における外部相談窓⼝としてもご利⽤頂けます。

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まとめ

今回は、テレワークで従業員のメンタル不調が起こる原因と兆候・対策についてご紹介しました。テレワークを取り入れる企業は新型コロナウイルスにより急速に増加傾向を辿ってきましたが、近年は横ばいになっています。

「テレハーフ」という言葉もあり、以前に比べると働き方は多様化しています。

従業員のメンタル不調の兆候を周囲が理解し、一部は外部サービスを利用するなど、会社の働き方に合った方法で早期発見・早期対策をとることで、誰もが働きやすい環境になることを願っています。

この記事を監修した人

広瀬 莉冴(ひろせ りさ)

病棟看護師 / 産業保健師として約7年間勤務した後、全国に医療施設型ホスピスを展開するA社の採用広報担当に転身。入社翌年より責任者として部署を牽引し、年間600名以上の看護師・介護士の採用に携わる。採用活動を通して同社の株式上場にも貢献した。現在はRecovery International株式会社にて採用チームの立ち上げに従事。

【保有資格】看護師 / 保健師 / キャリアコンサルタント / MBA(経営学修士)

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