生理前はイライラして当たり前、お腹が痛いのが普通・・そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか?しかし、生理の時の不調については「月経前症候群(PMS)」という病状名が存在しているのです。生活習慣を改善したり、病院に行くことで症状が和らぐことがあるかも知れません。
今回は、月経前症候群(PMS)の症状や原因、治療法についてお伝えしていきます。
目次
月経前症候群:PMS(premenstrual syndrome)とは?
月経前3-10日間に心身の症状が出始め、生理が始まると共に症状がなくなっていく状態をいいます。症状が軽度の方から、治療が必要なレベルの方がいます。
月経前症候群はなぜ起きるの?
明確な原因は未だ明らかにされていませんが、生理周期に応じて女性ホルモンの量が変わるからと言われています。
簡単にいうと、生理前に、女性ホルモンが急激に出されたと思ったら、途中から、出される量ががくんと減ります。この変動の大きさから、脳内のホルモンなどが異常を引き起こすのでは?と言われています。
しかし、基本的には女性みんなに同じように起こることですよね。そのため、ホルモンの変動だけでなく、そもそもの個体差や、生活習慣・性格・肥満など、ホルモン以外の他の要因もあるのではと言われているのです。
月経前症候群ってどんな症状?
精神面と身体面、どちらにも症状が起こる可能性があります。
精神面の症状
身体面の症状
月経前症候群のポイントは、「生理周期とともに症状が出現・もしくは消える」ということです。具体的には、【生理が始まる5日間に上記症状が見られ、生理開始後4日までになくなる】場合は、月経前症候群の可能性があるかもしれません。
精神面の症状が強く、自分でも考えられないほど不調が強い時は、PMDD(月経前気分不快障害)の可能性があります。PMDDは聞き慣れない方も多いかと思いますが、PMSの中でも特に心の症状が際立って強く出る状態になります。
社会生活に大きな支障がでることに繋がりかねないため、ちょっといつもと違うかも・・と思ったら、医師に相談することが重要です。
▶︎PMDD(月経前気分不快障害)についての記事はこちら
月経前症候群の治療法
現在の治療法は、大きく分けて2つあります。薬を使わない治療法と、使う治療法です。どの方法なら良いということではなく、結果は人によって個人差があります。
①薬を使わない治療法
・生活リズムを整える
・運動
・栄養のある食生活
②薬を使った治療法
・ホルモンのお薬(低用量ピルなど)
・各症状に対する対症療法治療
(痛みに対して痛みどめ、むくみ対して利尿剤、精神安定剤など)
・漢方薬
豆知識:ピルについて
欧米(特にヨーロッパ)では、妊娠可能な女性の20-30%以上がピルを使用しています。一方、日本では数%にとどまります。
このデータからわかるように、日本ではなぜかピルの使用に抵抗がある方も多いです。身近ではない薬は、何となく怖い気がしてしまいますよね。
確かに、どの薬も一定の副作用が起こりえます。特に、低用量ピルの種類によっては、数ヶ月ほど内服してからようやく効果が出始めるものもあるのです。
ただし、ピルの内服をすることで、PMSが大幅に改善されている女性が多くいることも確かです。もし症状が強く日常生活に支障が出ている場合は、一度産婦人科で相談することをお勧めします。
保健師のReal Voice
女性の中には「まさかこの憂鬱感がPMSだったなんて思わなかった」「確かに症状を感じるタイミングは生理前が多いけど、ただの気持ちの問題だと思っていた」という方もいらっしゃるのです。
心当たりがある方は婦人科へ相談することをお勧めしますが、婦人科の受診は抵抗がある方はまずは産業保健師へご相談くださいね。
特に、仕事や生活に支障が出ているのであれば、相談や受診をして自分の体調を管理することはとっても大切ですよ。