妊娠がわかって、嬉しい気持ちもあると同時に不安を感じていませんか?精神的に不安定な状態が続くと、これからやっていけるのか不安になったり、自分を責めてしまったりもしますよね。
当記事では、妊娠中の不安の原因や具体的な対処法について、子育て中の公認心理師の目線でお伝えします。
目次
妊娠中に感じる不安の原因
妊娠中に感じやすい不安については人それぞれですが、一般的に言われているのは以下のようなものです。
①子供がお腹の中でちゃんと成長しているのか不安
特に初めての妊娠だと、お腹の中で赤ちゃんがちゃんと成長しているのか不安になる人が多いのではないのでしょうか?
実際にお腹の中の様子が見えるわけではありませんし、不安になるのはとても自然なことだと思います。
健診の頻度も2週間~4週間のため、頻繁に赤ちゃんの様子が見られるわけではありません。健診までの時間がとても長く感じられるかもしれませんが、今のお腹の中の赤ちゃんの様子を思い浮かべながらゆったりした時間が過ごせると良いですね。
②自分の食事や生活が妊娠に及ぼす影響への不安
妊娠すると「辛い物やコーヒーは摂らない方が良い」「重い物を持たない方が良い」などといった話を聞くことがあるかもしれません。
誰かからそのように声かけされると不安になってしまうこともありますよね。
不安なことは、その都度健診で聞いて解消できると良いですね。
③自分の体の変化に対する不安
妊娠初期にはつわりがあり、妊娠中期になるとお腹も大きくなって、これまでの自分のボディイメージとがらっと変わった体型になっていきます。
つわりについては、出産直前まで続く人もいますし、自分の身体を自分でコントロールできない感覚を持つこともあります。
体型が変化することに対してネガティブなイメージを持つこともあるかもしれません。
もしこれらのことでストレスを感じたとしても当然のことなので、そのストレスを受け入れて、自分を否定せずに妊娠生活を過ごせると良いですね。
④妊娠中の仕事や通勤への不安
妊娠中は思うように身体が動かせず、これまでと違った働き方をしなければならなかったり、通勤で電車に乗ったり車を運転することが以前より辛くなったりするかもしれませんね。
男女雇用機会均等法で、企業は妊娠した女性に対して、勤務時間の変更や勤務の軽減などの措置を取ることが必要とされています。不安を抱え込まず、会社と相談できると良いですね。
⑤ちゃんと子育てできるか不安
初めて親になるのであれば、子育てのやり方が分からないのは当然のことです。分からず不安を感じるからこそ、子育てを学ぼうと意欲的になれるのだと思います。
出産後は、病院で新生児のお世話方法を教えてくれますし、その後も1か月健診などを通して専門家に聞く機会が都度設けられていますよ。
分からないからこそ、専門家の方になんでも相談してみましょう。
⑥出産の時の痛みが不安
痛みへの不安を持つのは、とても自然なことです。「鼻からスイカを出すような感じ」など、出産の痛みはいろいろな言葉で表現されていますよね。
実際どんなお産になるのかは人それぞれのそのときが来なければわかりません。
ただ、お医者さんや看護師さんも、できるだけ出産する人に負荷がかからないような声かけや処置をしてあげたいと思っている方が多いはず。
痛みの不安があるのであれば、ぜひ言葉にして相談してみてください。また、今は無痛分娩を行っている産院もあります。もし不安が強いのであれば、こちらも検討してみてくださいね。
妊娠中の不安の解消法
さて、妊娠中の不安はどのように解消すると良いのでしょうか。公認心理師の目線で、いくつか提案させて下さい。
①一人でできる解消法
考え方を良い方向に変えられるように、トレーニングしてみましょう。
すべての物事には二つの側面がありますよね。
例えば、人の性格で考えてみましょう。良く言えば楽観的でおおらかだけれど、悪く言えば大雑把であまり考えない、という人はいませんか?
同じ性格でも、良い面もあれば悪い面もありますよね。
このように、不安にも二つの面があります。
多面的に不安と向き合って、いろんな側面から見ることで不安が軽減されるかもしれません。
例えば「お腹の赤ちゃんがちゃんと育っているのか不安」というのは、「母になるために自分の心を準備しているから」とも言えますよね。
不安に思うからこそ、赤ちゃんを迎えるときの準備をしたり、自分の生活を整えたりするやる気が出たりしませんか?
不安を持つことは、決して悪いことばかりではないと思います。紙に書いたり、スマホのメモ欄に自分の気持ちを言葉にして表現するだけでも、自分の不安と向き合えると思いますよ。
また、妊娠中に自分の心や身体のケアをすることで解消する方法もあります。例えばカウンセリングを受けてみるのも心のケアの一つです。今はオンラインカウンセリングやLINEで相談するサービスもあるため、以前より気軽に受けられると思います。
また、身体のケアでは、マッサージや整体、ヨガなど、産婦人科医から許可が出れば受けることもできますよ。ぜひ健診のときに相談してみてくださいね。
他にも、リフレッシュや趣味など、自分の好きなことに取り組むことで気分転換もできますよ。妊娠中でも、できるだけこれまで自分が好きだったことに同じように取り組めると良いですね。
②夫婦間でできる解消法
もし不安を一人で抱え込んでいるなら、まずはパートナーに話してみましょう。気持ちを話して不安を共有することで楽になるかもしれませんよ。
身体面の負担がある時には、パートナーに家事をお願いしてみても良いですね。
また、初めての妊娠であれば、二人だけで過ごせる時間を楽しんで、子どもを連れて行きづらい場所(少し高級目のレストランや焼き肉など)に行っておくのもおすすめです。
③周りの人にお願いできる対処法
信頼できる親族や友人などがいれば、その人に不安な気持ちを聞いてもらうことも一つの対処法です。可能であれば、家事や送迎なども手伝ってもらえるか考えてみましょう。
もしあなたが働いているなら、会社に相談して働き方を緩和してもらったり、時差出勤を検討してもらうことも検討してみましょう。
④専門家に頼ることでの対処法
妊娠中の不安が大きい時には、「子育て包括支援センター」で専門家に相談することができます。行政が行っているサービスなので、無料で保健師さんなどの専門家に気軽に相談できますよ。
母子手帳をもらうときなどに、どこに相談にいくと良いか聞いてみてくださいね。
また、健診時に産婦人科で相談することもできますので、妊娠中に不安に思うことは何でも聞いてみましょう。
精神的な不安が大きく、抑うつ的な症状などがひどいようであれば、精神科やメンタルクリニックへの受診も考えてみましょう。
精神科と産婦人科で連携をとって投薬も考えてくれますので、どちらも受診する場合は両方受診している旨を伝えると良いですよ。
受診の目安
もし妊娠中に不安があるときは、まずは産婦人科に相談してみると良いです。
しかし、以下のような症状があるときは精神科や心療内科、メンタルクリニックの受診を検討してみてください。そちらを受診するときには必ず妊娠していることを伝えてくださいね。
・わけもなく涙が出てくる
・疲れやすい、寝つきが悪い、朝起きられない
・無気力になり、今まで楽しめたことが楽しめなくなった
・仕事や家事で失敗が増えた
・食欲がない、もしくは食べ過ぎてしまう
・家族や周囲へのストレスが増えた
・憂鬱な気持ちがずっと続く
公認心理師からの一言
妊娠中はホルモンバランスも崩れやすく、妊娠していないときよりメンタルヘルスが悪化しやすいです。
私も妊娠初期に生理のような出血があり、産婦人科より1か月の絶対安静を指示され、急遽休職しなければならず、職場の人に申し訳ないやら自分が情けないやら、子どものことが心配でたまらなくなるやら...精神的に辛い時期がありました。
でもその辛さをパートナーに話したり、安静にしながらできる趣味(映画鑑賞、読書)に取り組んだり、家事は宅配サービスなどを利用してなんとか乗り越えました。
出産前後はどうしても母親の方が主で子どもと関わる時間が長いため、一人で不安を抱え込みがちです。自分がしなければならないという思いにとらわれず、自分の中にある不安や負担感に気づいてできるだけパートナーや信頼できる人と共有してほしいと思います。
そして、その不安感をどうしても自分たちだけでは抱えきれないと感じたときには、専門家に頼ることも考えてくださいね。