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育児不安の対処法とは?子育て中の公認心理師が解説します

2022年6月1日

みなさんは「育児不安(いくじふあん)」という言葉を聞いたことがありますか?

育児不安とは、育児をしているときに感じるモヤモヤ感、不安感などのネガティブな気持ち全般のことです。

特に初めての育児では、育児に対しての不安があるのではないのでしょうか。子育てをしていて育児不安を持つ事はとても自然なことです。

この記事では、育児不安の原因や具体的な対処法について、子育て中の公認心理師の目線でお伝えします。

育児不安とは?

育児不安とは、親が子供の育児において感じる不安やストレスのことを言います。

一時的に不安が高まってもすぐに解消できる場合は良いのですが、その不安がずっと続く時は、親の精神的健康に影響を及ぼす可能性があります。

育児不安の原因

  • 子どもの発達の遅れ子育ての仕方がわからないこと
  • 育児の支援を受けられず孤立すること
  • 保護者自身の精神不安

育児不安の原因は、このように多岐にわたります。

育児不安を持つ人

育児不安は、お母さんだけではなく、もちろんお父さんも持つことがあります。

平成27年度の厚生労働省の調査によると、0~15歳の子供を持つ親の約7割が何らかの育児不安があると答えています。お母さんは8割弱、お父さんにおいても7割弱の人が育児不安があるそうです。

参照元:平成27年版厚生労働白書 - 人口減少社会を考える - |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

育児不安の対処法

①自分でできること

育児に対してどんな不安を感じているのか、言葉にしてみましょう。

携帯のメモ欄や、ノート、紙類などなんでも良いので、まずは自分の気持ちを素直に表現してみましょう。言葉にすることで、意外と自分が不安に思っている事は少なかったと気づけます。

また、自分が不安に感じている理由が具体的に分かれば、対処法を考えることもできます。

例えば育児でわからないことがあって不安を感じていた場合は、調べる(ネットで検索する、お医者さんなど信頼できる人に聞く、それに関する本を読む)ことで解決できるかもしれません。

②家族にお願いできること

家族など信頼できる人に不安を聞いてもらえるなら、言葉にして聞いてもらいましょう。自分の言葉で考えていることや気持ちを人に話すことで、自分が何を考えているのか整理することができます。

また、自分の身体の疲れや、子どもの対応に疲れていて不安に繋がっている場合には、具体的なサポート(家事をしてもらう、子どもの面倒を見てもらうなど)もお願いしてみましょう。

③無料のサポート

地域の子育て支援センターや保健センターでは、無料で育児への不安の相談を受けてくれるところが多くあります。

もし漠然とした不安であれば、専門家と話す中で自分が何が不安なのか気づけるかもしれません。

④有料のサポート

子どもの発達に関する不安がある場合

発達など子どもに対しての相談や悩みは、小児科で聞くことができます。

ご自身の不安がある場合

漠然とした不安がある、眠れないなど自分自身がつらい場合には、精神科やメンタルクリニックへの受診も検討しましょう。

その他の有料サポート

「子どもをしばらくの間見ていてほしい」「家事を手伝ってほしい」など、具体的にしてほしいサポートがある場合には、自治体のファミリーサポートにお願いできます。シルバー人材サポートセンターで同様のサービスをしているところもあります。

保育園で子どもの一時預かりをしてもらうこともできますし、「家に来て子供を見てほしい」という場合には有料ベビーシッターなどのサービスもありますよ。

必要に応じて、有料のサポートを取り入れてみるのもおすすめです。

育児不安での受診の目安

育児への心配だからたいしたことはない、心配しすぎなだけ..と育児不安を軽く思ってしまうのは禁物です。

ちょっとした不安でも、精神面や身体面に大きく影響を及ぼすことがあります。

<特に注意すべき症状>

・食欲が落ちた
・体重の短期間での短期間で大幅増加・減少
・眠れない、朝早く目が覚めてしまう
・子どもをかわいく思えず辛い気持ちになる時間が長い
・わけもなく涙が出てくる
・焦燥感、イライラがずっと続く

このような症状を放っておくと、より悪化することもあります。

育児があると、自分が病院に行く時間を取りづらい、子どもを預けられないという事もあるかもしれませんが、少しでも上記のような症状がある場合は、病院受診を考えましょう。

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「産後うつかも?」と思ったら。症状や対処法を公認心理師が解説

公認心理師からの一言

私自身も初めての子育ての際に、育児の仕方がわからず育児不安を感じたことがあります。出産して病院から自宅に帰ったばかりの頃、子どもがあまりに泣き続けるので不安になって産婦人科に電話してしまったこともあります。

産婦人科の看護師さんからは「おなかが空いているのではないか、眠たいのではないか」と、今思うと当たり前の回答だったのですが..

そのときは不安が大きく、もっと他に何か理由があるのではないかといろいろ考えて過ぎてしまい、涙が出てきてしまいました。

結果としては本当にただおなかが空いていただけだったのですが、あのときのなんとも言えない不安感は今でも思い出せます。

電話で誰かに質問をしたり、家族に聞いてもらうことで、自分の不安も少しずつ軽減されていきました。抱え込まずに誰かと繋がることで、不安が低減できるんだなぁとそのときに感じました。

産後や育児中に、育児不安を抱えることは本当に自然なことです。でも、不安のまま対処せずに放っておくと、時にはより深刻になってしまうこともあります。

もし少しでもその不安があると気づけたなら、自分を抱きしめて、誰かにその気持ちを話してみませんか。

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Miho

大学院にて子どもの発達や母子愛着について学んだ後、臨床心理士・公認心理師になりました。児童相談所や教育相談センターで親子相談に関わった後、自らも出産し実際に子どもを育ててみて、その大変さを感じています。多くの人が楽しく子育てできるようにお手伝いすることが自分の夢です。

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