大事な仕事の前や、緊張する会議中にお腹が痛くなる..といった経験をされたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
身体には明確な異常がなくても、腹痛や下痢などお腹の不調が起きることがあります。
今回は、過敏性腸症候群(IBS)について、症状や原因、対策方法を見ていきましょう。
目次
過敏性腸症候群とは
お腹の痛みや調子が悪いといった症状があり、便秘や下痢などの便の形・回数の異常が数ヶ月以上続く状態で、大腸の異常など身体における異常がない時に考えられる病気です。”irritable bowel syndrome”の頭文字をとってIBSとも呼ばれています。
過敏性腸症候群の考えられる原因
過敏性腸症候群の明確な原因はわかっていません。感染症にかかることで腸粘膜が弱くなることや、ストレスにより腸が過敏に反応することが原因の1つとして考えられています。
細菌やウイルスによる感染性の腸炎が原因
感染によって腸に炎症が起きることで、腸粘膜が弱くなったり、腸内細菌のバランスが崩れたりといったことが起きます。その結果、腸の動きが過敏になります。
ストレスが原因
強いストレスを感じると、自律神経と内分泌を介して腸の動きに影響を与えます。そのことから、ストレスによって過敏性腸症候群が引き起こされる可能性があります。
過敏性腸症候群の症状
直近3ヶ月の間に、月に3日以上にわたってお腹の痛みや不快感が繰り返し起こっており、次の症状の内2つ以上当てはまる場合は過敏性腸症候群の可能性があります。
・排便によって症状がやわらぐ
・症状の強さに応じて、排便の回数が増えたり減ったりする
・症状の強さに応じて、便が柔らかくなったり硬くなったりする
過敏性腸症候群の治療・改善方法
①規則正しい生活・十分な睡眠
ストレスが症状の悪化の要因となるため、規則正しい生活やしっかり寝ることでストレスを減らしていくことが大切です。
②刺激の多い食品を避ける
コーヒーやお酒、辛いものをたくさんとって下痢をした経験がある方もいると思います。このような食品は腸への刺激となり症状を悪化させると言われています。なるべく避けるか、大量に摂取したり夜に摂取したりしないようにしましょう。
③薬を使用した治療
生活習慣を変えても改善しない場合は、薬を使用します。腸内細菌を整える薬や、便の水分量を整える薬、下痢が多い方は下痢止め、便秘が多い方には便を出しやすくする薬など、複数の種類が用いられることがあります。また、腹痛が強い方には痛み止めが処方されることもあります。
④行動療法などメンタル面へのアプローチ
ストレスが要因とされる過敏性腸症候群の場合は、メンタル面へアプローチすることもあります。例えばメンタルクリニックなどでは、臨床心理士などカウンセラーが行動療法を行っています。行動療法を行うことで、ストレスと感じている状況に慣れることでストレス軽減に繋げ、結果として過敏性腸症候群の改善に繋げます。
保健師のReal Voice
抑うつ状態や適応障害など、メンタル不調とともに過敏性腸症候群が見られる方は少なくないです。しかし、排便トラブルということもあり、周囲に相談しづらいと感じている方が多いです。
長い時間電車に乗れず通勤ができなかったりと、社会生活に支障が出るとても辛い症候群ですよね。周囲の理解も重要になるため、もし周囲に過敏性腸症候群の方がいるのであれば心ある言葉がけや対応をしてほしいと思います。
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