HSPとは「ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly Sensitive Person)」敏感さが高い人の略で、「繊細さん」と呼ばれたりします。簡単にいうと、”生まれつき”繊細な人のこと。
心理学者によって定義されたため正式な医学用語ではありませんが、ここ最近メディアなどで取り上げられることが多いですね。
言葉の通り、周囲の情報に対して敏感な傾向があります。周囲の情報とは、音や光などの物理的な環境に加え、人の表情、感情や動作などに対しても敏感です。
目次
HSPはなぜ敏感なの?
生まれつき、脳にある「扁桃体」という部位の働きが強い傾向にあると言われています。
扁桃体は感情を司る部位であることから、扁桃体の働きが強い=不安や恐怖などの感情を感じやすいということです。
言い換えると、常に周囲に対してアンテナを張っている状態と言えます。
HSPの特徴
HSPは正式な医学用語ではないため、現時点で日本において診断基準はありませんが、下記の特徴があると言われています。
得意なこと
- 相手の表情や話から相手の気持ちなどを深く考えることができる
- 人の心や感情を見抜くことが得意
- 物事を決めるまで深く考える
- 共感性がとても高く、全くの他人の出来事でも感動したり傷ついたりする
- 気が利くと言われるが、気を利かせているつもりはあまりない
- 相手の気持ちや考えていることがなんとなくわかる
苦手なこと
- 人と会うのは嫌いではなくともドッと疲れる、人混みが人並み以上に苦手
- 大きい音が異常に苦手
- 痛み、温度、匂いに敏感
- 適度に考えるということが難しい、考えすぎてしまい疲れる
HSPの特徴をみると、得意と苦手の内容は表裏一体です。
例えば、”得意なこと”である「相手の表情や話から深く考えることができる」は、「必要以上に考えすぎてしまい結果として疲れる」という”苦手なこと”に繋がっています。
HSPの人は得意なことが多く、人付き合いも上手な人が多いと言われています。一方で、裏を返せば非常に敏感であると言えますね。
この敏感さは、先天的、つまり小さい時から繊細さがあることが特徴です。そのため、大人になってから敏感さの特徴が見られる場合は、生きていく中で獲得したものか、他の不調が考えられます。
HSPと心の不調の関係について
HSPの人はその敏感さがゆえに、うつ病など心の不調を発症しやすいといわれています。
他の人ならスルーできる情報も、HSPの場合はキャッチしてしまうため、その情報に対してわき起こる感情を処理しなくてはいけないわけです。とても疲れますよね。
疲れて過ごしづらさを感じストレスが溜まることで、心の不調に繋がってしまいやすいということです。
残念ながら、現段階では根本的な治療法もありません。そこで、HSPの方は日々の工夫が大切になってくるのです。
HSPが日常でできる工夫
現段階でHSPの根本的な治療はないですが、日常を過ごす上での工夫は可能です。
1)1人になる時間を積極的に作る
HSPは無意識に周囲の情報にアンテナを張ってしまいます。そこで、なるべく情報が少ない環境を作るのがおすすめです。
例えば部屋にこもる時間を作る、イヤホンなどで周囲の音を遮断するなど。
人混みも他の人以上に疲れやすいため、大勢集まる場所はなるべく避けることも1つの方法です。
2)今の状態を言語化する
感じている気持ちや起こっている出来事を書き出すことで、自分の置かれている状況を客観的に整理することができます。
言語化する作業は少し大変なイメージもありますが、スマホのメモ機能を使ってさっと洗い出すだけでもOKです。
3)睡眠を大切にする
他の人以上に周囲の情報に対して敏感だなと感じたら、睡眠をより意識しましょう。睡眠不足だと、どうしても心の不調を発しやすいためです。
保健師のReal Voice
敏感な状態がずっと続くというのは、かなりしんどいことですよね...。拾いたくない情報まで勝手に拾ってしまうのですから、とても疲れるはずです。
最近はご自身で「HSPなので・・・」と話される人も増えたように思います。自分への理解が深まることに繋がるため、HSPといったカテゴリーのようなものがあるのは良いですよね。
一方で、HSPだからできない、HSPだからダメなんだ、というのはまた少し違う気がしています。HSPの傾向を知って、自分に対して理解を深めた上で、日常を工夫することに繋げたいところです。
ただ、うまく工夫に繋げられずに苦しい時もあると思います。先天的に敏感でしんどいなぁと感じる方は、一度保健師や心理士などに相談してみることをお勧めします。
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