ADHD

ADHDかもと思ったら。主な症状や治療法、日常で工夫できること

2021年8月29日

ニュースなどで「ADHD」というワードを耳にする機会が増えたので、聞いたことあるという方もいるかもしれませんね。ADHD(注意欠如多動性障害)は発達障害の1つで、日本では子供の5%、大人の3%がADHDと言われています。

大人になってから発症することはないですが、子供のうちは「少しおっちょこちょいかな?」「元気で活発な子だな」と見過ごされやすいこともあり、社会に出てから明らかになる人も多いです。

ADHD(注意欠如多動性障害)の主な症状

ADHDの症状は、主に3つの傾向があります。3つ全部見られる人もいれば、どれか1つが突出している人もいます。

1)不注意

ケアレスミスが多い、物をなくす、忘れ物が多い、頻繁に約束を忘れる、集中することが難しい、優先順位をつけづらくマルチタスクが苦手 など

2)多動性

じっとしていられない、落ち着かない、部屋が散らかる、体を小刻みに揺らす、手足や気持ちに落ち着きがない、過集中してしまう、 など

3)衝動性

パッと思いついたことをすぐにやる、相手の話を遮る、就職先を衝動的に決める、買い物をする、順番を待てない など

尚、ADHDだと思っていたら双極性障害だったというケースもあります。

双極性障害とは、明るく行動的で正常とはいえないハイテンションな時期と、激しい落ち込みを繰り返す病気です。ハイテンションな時期には、ADHDかもしれないと思われる時があります。

もし、明るく元気だったのに急に激しい落ち込みを経験したことがある場合は、ADHDとは違う可能性があります。

ADHD(注意欠如多動性障害)の原因

詳しい原因はわかっていませんが、脳の一部の機能に異常があると言われています。

ADHDの治療

ADHDにより生きづらさや支障を感じている場合は、治療を行います。

1)薬を使った治療

ADHDは、発達障害(ADHD、学習障害、自閉症スペクトラム)の中で、唯一治療薬があります。衝動性を抑えたり、集中できるようにする薬などがあり、薬を飲んだことで楽になった方もいます。一方で、しばらくは副作用が強く出てしまう方もいるため、医師と相談しながら内服治療を行います。

2)その他

薬の治療以外にも、カウンセリングや認知行動療法を実施することがあります。

認知行動療法とは??

認知とは物事に対する受け取り方、捉え方、考え方のことです。

同じ事象がおきてもポジティブに捉える人がいればネガティブに捉える人もいます。同じ人でも、ストレスが溜まっていると、ついマイナスに考えてしまう時もありますよね。

この必要以上にネガティブに捉えてしまう時が、「物事に対する捉え方=認知」の歪みが起こっている状態です。必要以上に悪く捉えたり悲しんだりしないように、認知の歪みをなおすことを認知行動療法/認知療法と呼びます。

日常で工夫できること

1)不注意傾向が強い方:

  • 忘れないように付箋、アラーム、リマインダーを活用する(スマホやLINEなど)
  • スケジュールやタスクを1枚の紙に書き出す
  • 重要なことは誰かにリマインドして欲しいと頼む
  • 確認作業は人の2倍行う
  • 優先順位がわからないときは思い切って人に相談する
  • 棚に何が入っているかをメモする
  • 物に期限をつける(1ヶ月以上使用していない物は捨てる)

2)多動性が強い方

  • 視界に多くのものが入らないようにする(ついたての使用、スマホを隠すなど)
  • イヤホンなどで外部の音を遮断する
  • 整理整頓は外部の力を借りる

3)衝動性が強い方

  • 話し始める前に深呼吸する
  • 頭に浮かんだことをメモにとる
  • クレジットカードは持たない

考え方のススメ

発達障害は得意と不得意の振れ幅が少し大きいですが、「得意」を活かせるところで働くと輝けることが多いです。

人は苦手なことを直すよりも、得意なことを伸ばす方が楽ですよね。今回あげたADHDの症状は、長所にも短所にもなり得ます。

例えば、多動性がある人は思い立ったら行動をします。新しいことを常にやり続けることが良いという価値観の環境の中では、行動力が高く評価されやすくなります

一方で、1つのことをずっと行う方が良いという価値観の環境であれば、行動力の高さは短所にもなり得ますね。

このように、苦手なことばかりに目を向けず、得意なことに注目したり環境を変えるといったことも、自分らしく活き活きと生きるためには必要かもしれません。

保健師のReal Voice

ADHDのような発達障害は0か100ではなく、グレーゾーンと呼ばれる人がたくさんいます。実際に働く場では、発達障害傾向のある方は少なくありません。

しかし、診断されずに治療対象にもならない場合、それはそれでしんどいと感じる方も多いと思います。うまくいかない時には「なんて自分はダメな人間なんだ」と自分を責めてしまう時もあるかもしれません。

ただ、ダメな人はいないんです。いろんな人がいて良いんですよ。そのことだけは忘れないでくださいね。今はテクノロジーや外部の力も借りることができるので、自分自身で工夫をしつつ、誰かの力も借りていきましょう。

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ハワユ産業保健師チーム

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